2020年7月号室内装飾新聞『インテリアと「ウェルネス」』

インテリアと「ウェルネス」

先日あるインテリア商材メーカーの営業の方と数カ月ぶりにお会いした。コロナ渦で長らく直接お目にかかることがなかったが、新商品の発売を機に営業活動を再開されたとのことだった。お互いに近況を報告し合う中で、「4月以降はほぼテレワークでしたが、とても健康になりました!」という明るく元気のある言葉が返ってきた。今、テレワークが長期化する中で体調不良を訴える人が増え、企業内で健康管理を行う産業医、保健師もこの課題に立ち向かっている。そんな中、一人暮らしの彼が「健康になった!」というニュースはとても興味深い。

「朝昼晩決まった時間に食事もできたし、よく寝ていました。時々筋トレも。」

今世間でしきりに健康維持に重要だと言われている基本的な生活習慣を続けていたらしい。私の仮説は、彼がインテリア業界に携わり、そもそも住空間に興味があり、生活環境を丁寧に設えていたことが健康になれた理由ではないか、と考えている。

一人暮らしは規則正しい生活習慣を維持することが難しい、と考える人は多い。なぜならそこには自分自身を律する強いメンタルや、空間そのものに対する愛情が必要だから。整った食事環境、軽い運動用のスペース、質の高い睡眠空間、イライラを生まない整理整頓された部屋、リラックスできる家具。快適な空間は毎日の生活習慣を変えていく。広さはなくても、身の丈にあった、自分が心地よいと感じるものが揃っていて、はじめて「健康になれる」生活習慣を繰り返すための土台ができるのだと思う。

今、「免疫力アップ」に関する情報をよく耳にする。withコロナ時代は、ウイルスと出会わない策とともに、打ち勝つための策(=免疫力)が重要である。実はここにインテリアの果たす役割が非常に大きいと考えている。ストレスは免疫力を下げることは知られているし、大きな刺激でなくても、“持続的に受け続ける”と病気を引き起こす要因になる。ストレスを解消し、心身ともにリラックス(リセット)できる生活環境づくりが今まさしく求められているのではないだろうか。肌が心地良さを感じるファブリック、香り、カラダにフィットする家具、刺激のない照明、優しいグラデーションのカラーコーディネート。ストレスを遠ざけるようなインテリアこそ、時代を助ける力となる。

これからはリゾートなど環境のよい場所で、休暇を兼ねてリモートワークを行う働き方「ワーケーション」もあたりまえの時代が来るかもしれない。リラックスを極めるインテリアには、健康をセルフプロデュースするための目指すべき「ウェルネス」があると感じている。

2020年7月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

室内装飾新聞202007月号

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