2020年6月号室内装飾新聞『おうち時間の価値』

おうち時間の価値

「インテリアコーディネートの仕事とは?」以前あるテレビ取材を受けた際、私はその問いに「時間価値を高める仕事」とお答えした。インテリアの提案はセンスが重要で、トレンドを追求し空間をよりよく魅せる仕事だと多くの人は考えているかもしれない。実はインテリアの力が発揮されるのはその先にある。整った空間での暮らし時間(=おうち時間)がどう変わるのか、時間価値を高めているかどうか、が仕事の目的であり本質だと考えている。特に住まいのインテリアにおいては、時間に価値を生み出せるかどうかは重要だと思う。
2、3月号でもご紹介した、ロサンゼルスの住宅視察からは様々なインテリアスタイルとともに、多くの家族の「時間価値」を学べたように感じている。外構はシンプルでも、一歩中に入るとインテリアの凄さに驚く家が多かった。人が過ごす内なる空間(=インテリア)を整えることに相当な時間と労力、費用も投じているオーナーのこだわりを目の当たりにした。子供がワクワクするようなカラフルな内装やアートで囲まれたベッドルーム、バーカウンターのあるキッチン空間など、どうしてそこまで労力をかけて設えるのか?家はオーナーの知性や個性を表す手段であることも大きいが、何より大事にされていたのは、家族のために快適な空間をつくりたいから、という理由だった。つまり、インテリアに対する労力は、家族の時間価値を高めるために注がれていたのだ。

自粛期間を経て、今多くの人が住まいをじっくりと見つめ直す機会を持つことになったと思う。特に心のあり方に住まいが大きく関わっていると感じられた方も多いのではないだろうか。おうち時間を整理整頓・収納改善に費やし、心がスッキリと晴れる気持ちになった方。きっと日々のストレスの軽減を実感されたと思う。またこういう時こそ、明るい色を纏う効果はインテリアにも通じるはずである。誰でも見ているだけでモチベーションが上がる!という色がある。鮮やかな一凛の花が心に元気を与えるように、インテリアにもっと“色”を取り入れる方が、毎日の“元気の素”にもなりそうだ。住まいは寝るだけの場所と考えていた人にとっても、これからの状況は変わるだろう。家族全員が多くの時間を過ごす場所だからこそ、インテリアの力を大いに使って欲しいと思う。

人気リフォーム番組のスタイリングでいつも心掛けていたマイルールがある。それは部屋を一目見た瞬間に華やかさが伝わるよう、インテリアに“色”を取り入れること。溢れるような最高の笑顔を見せてくださったお施主様の映像から、インテリアの力を実感した経験が今に生きている。

2020年6月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

室内装飾新聞202006月号.

 

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