2017年7月1日号 室内装飾新聞「インテリアの可能性」

「インテリアの可能性」

「尾田さん、チャレンジャーですね!」
そう7年前に言われた言葉を今もはっきりと覚えています。“医療とインテリア” ドクター監修の元、体と心のケアを目的とした日本初のマンションモデルルーム「ACTIVE CARE(アクティブ・ケア)」。思えばそれが健康を育むインテリア、アクティブ・ケアの起点でした。
モデルルーム企画のお話を頂いた当時、東京のあるトークセッションイベントで獨協医科大学神経内科 辰元宗人准教授と出会いました。その名は「光論会」。光について様々なジャンルから語り合う内容でしたが、私はそこで初めて“光過敏”の存在を知り、光=照明計画はもちろん、インテリアデザインやコーディネートの配慮が片頭痛の症状を和らげたり、体の健康と密接に結びつくことを知りました。私の頭の中には今までのお客様とのやり取りがかけ巡り、あの方は光過敏だったのだ・・・と、ようやく線と線が繋がったような思いでした。また同時に、健康という視点にインテリアの可能性を大きく感じたのです。私たちインテリアデザイナーが遠いと思っていた医療の世界の一旦を担い、人の健康のお役に立てることがあるとすれば、こんな素晴らしいことはない!!新たな可能性に向けた私のチャレンジが始まりました。
しかし、スタート時には色々なご意見がありました。新居というポジティブな夢を描く世界に「病気、頭痛」等どちらかというとネガティブなイメージは企画としていかがなものか、と。その時、業界初となるこの試みを後押し下さったのが、冒頭の言葉の主。チャレンジャーな私を受け入れて下さった方でした。今、アクティブ・ケアに共感いただく方が増え、様々な方面への広がりを感じる度、あの日の感謝が心に蘇ります。

「インテリアの可能性」

私はこの言葉が大好きです。縁あってインテリアの世界に入りましたが、私の中では益々可能性が広がっています。今、世の中は“健康”の時代。健康的に暮らすことに、インテリアの役割は大きいと考えています。
私は医療の世界との関わりによって、これからのインテリアにとって必要なこと、チャレンジのテーマが広がりました。心地良さを感覚論だけではなく、誰もがわかりやすい物差しに置き換えるための実証はその一つ。出会いの後、辰元医師とともに研究や学会発表にも取り組んでいます。また、アクティブ・ケアの概念を見える形にすることの一つ、商品開発(*写真参照)も行なっています。インテリアの可能性に向かって、私はこれからもチャレンジャーであり続けたいと思います。

2017年7月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

室内装飾新聞201707号

 

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