2021年6月号室内装飾新聞『色でととのう』

色で整う

インテリアコーディネートにとって、色彩に強くなることは重要だ。壁紙、床材などの内装材をはじめ、家具、カーテンなどに使われるファブリック、照明の光にも色があり、それらの絶妙な組み合わせを提案することが、良い仕事として評価される。私も長年さまざまな色を見続けてきたからだろうか。かなり微妙な色の違いも、見分けることができるようになった。あるとき、そんなアプリを見つけてトライしたら、おかげさまで全問正解をもらいホッとした。プロとして、これからも維持したい強みである。

しかし、色は奥が深い。というのも、色はモノ単体で語ることはできない世界だからだ。赤いトマトを黒いお皿に盛るか、白いお皿にするか、隣り合う色によっても見え方は異なる。また、それを照らす照明が電球色か、昼白色かでも違って見える。光と目(視覚)とモノ(対象物)、その3つが揃ってはじめて「色」というものが感じられている。つまり見るときの光環境や、見た人の「感覚」によって差が生まれているのだ。真っ暗闇ではそもそも色は存在しない。一般的に、色と光は別物と考えられることも多いが、色にとって、光は必須、いや切っても切り離せない、という表現が当てはまるように思う。

私がインテリアの色を検討するときに、現場確認を重要視するのは、色にとって光がとても重要だからだ。実際に内装材が施工される空間の「光」で見る色は、確かな見え方であり、結果がぶれない。サンプルで見ていたのとイメージが違う、なんていうことは概ね回避することができる。さらに「色は記憶に頼らない」というのもマイルール。光環境だけでなく、見た人の視覚によって誤差が生じる可能性があるとすれば、記憶ではなく色サンプルなどを活用する方が確かである。

これらを考えたときに、インテリア計画は内装だけでもなく、照明だけでもない。それぞれ別物で考えてはダメということがご理解いただけると思う。壁紙ひとつとっても、その空間の光(照明)によって見え方は大きく変わるはず。また見る人(そこで過ごす人)の感覚によっても見え方は異なる。例えば、男性と女性では識別できる色数が違う、という研究報告や、幼児と大人、高齢者の見え方にも違いがある。同じ内装材でも評価が違った、というケースには、こんな理由も関係するのではないだろうか。

インテリアではどんな色がおすすめですか?という質問を受けることがあるが、単純な答えはない。ただ、在宅勤務の普及で住まいを見直す人などは、心身ともおだやかに過ごせる空間を求めているはずだ。やさしい内装計画は光とともに考える。色で整う空間づくりに、光が果たす役割は大きい。

2021年6月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

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