2018年3月1日号 室内装飾新聞「優しさをデザインすること」

優しさをデザインすること

空間のインテリアデザインにおいて、トレンドを追うことはもちろんだが、近年「優しさをデザインすること」を求められる機会が増えたように思う。心遣い、温かみ、思いやりなど。
人としての「優しさ」をデザインとしてどう具現化すれば良いか、難しいテーマだが、今の時代、大切なテーマだと思う。インテリデザイン、インテリアコーディネートとして考えた場合、
私はデザイナーとして、依頼主の「優しさ」をどう表現しようかといつも考えている。

昨年、静岡のあるクリニックのリニューアルプロジェクトのお話をいただいた。先生の優しいお人柄もあり、いつもクリニックは患者さんで溢れ、今も初診の方が増え続けておられるとのこと。
このままでは先生のお身体の方が心配、、などと思いを巡らせてしまうほど人気のクリニックを、さらに患者さんにより良い環境を、と先生からのご依頼だった。
先生のお話の中に、私は患者さんに「認知症」とは言わず、「もの忘れ」と言うんですよ、というお言葉が心に残った。先生の患者さんへの心遣い、優しさが伝わるようなデザイン、コーディネートを目指し、今年1月にクリニックは完成した。

別のある施設では、スタッフの方のための環境改革に取り組むお話もある。ここでもテーマは「優しさをデザインすること」。ケアをする側のスタッフの方々が、心身ともにリフレッシュできる休憩室。
照明、内装材、色と色の組み合わせ、家具など。良い素材を集めて、この場所にぴったりの優しさのパターンを今試行錯誤中である。働き方改革が謳われる今、残業など“時間”についてフォーカスされることが多いが、
働く環境の“質”をどうするかも、今後重要になってくると思う。日々の時間の質を変えるのは“環境”。「優しさをデザインすること」、インテリアの役割は益々大きくなりそうです。

2018年3月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

また、今月号では「日本インテリア健康学協会」設立についても掲載されています。
是非ご覧ください。

室内装飾新聞20183月号

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