LAインテリア視察2020
今回8度目となったロサンゼルス、インテリア視察の旅。何度もLAを訪ねる理由はいくつかあるが、一番の理由を挙げるとすれば、LAには「生きたインテリアの学び」があるから。私が訪問するLA住宅は、今現在リアルな生活空間だ。本当に使われているキッチンには、使いながら素敵に魅せ、維持するための工夫がある。家族との大切な時間のために、インテリアに惜しみなく手間をかけている「想い」を感じる。使い込まれたインテリアは道具として、空間の一部になっている。使い込むからこそ、永く愛用できる本物を普段使いとして使う。ベッドルームやクローゼット、トイレから納戸まで、隅々のプライベート空間全てを快く見せて頂ける。この状況は、日本はもちろん、同じアメリカでも東海岸ではなかなか叶わない。映画の街ハリウッドの「生活空間を撮影の場として提供する」という独特の文化に支えられた貴重な体験だ。だからこそLA住宅から学ぶことは大きい。
ハリウッドヒルズに立つモダン住宅は、とにかくデコレーションとアートが素晴らしかった。リノベーションには2年かかったとのこと。8度の訪問で数年単位のリノベーションには驚かなくなった程、LAではリノベーションに時間と費用を投じるオーナーが多い。アートは暮らしの中で楽しむもの、日々の生活の一部だと、写真家であるオーナーの住まいは教えてくれた。
マホガニーとレッドウッドで構成された1954年築のヴィンテージな住まいは、壁、天井、キッチンまで全てが木質仕上げで統一されていた。先程のような天井高さのあるダイナミックな住宅とは異なる、日本の感覚に近い、落ち着く住まいだった。照明も少なく、内装材が全て木質なので、日中でも明るすぎることはない。緑を見渡せる窓と使い込まれた上質な木から放たれる独特の空気感に癒された。この住まいを一言で表現すると「心が落ち着く住まい」。オーナーの職業は陶芸家と建築家。アーティストらしい二人が選んだ住まいは、きっと日々の創作活動をサポートしているに違いない。
次回は、LAで注目のカフェ、デザインホテルのインテリアをご紹介します。
2020年2月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中