2021年3月号室内装飾新聞『これからのスタンダード』

  • 2021.03.18
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これからのスタンダード

ちょうど一年前、昨年3月に入った頃から仕事を取り巻く環境が急速に変わった。これまであたりまえだったことが、今では真逆の価値として定着したものもある。この一年の変化のスピードは「スタンダード」というものが永遠ではないことを教えてくれたのではないだろうか。遅かれ早かれ「時代の変化」は必ず訪れる。ただ今回の変化はあまりにも急激だった。しかし春の訪れとともに、新しいスタンダードは、私たちの暮らしのベースになりつつある。

インテリア提案でも、大きな発想の転換が求められた。私自身、現場やリアルに重きを置く仕事スタイルだったために、正直オンラインでどこまで出来るのか?と当初は手探りだった。ただ一年経ち、打合せはオンラインが定着しつつある。もう少し今を分解すると、オンラインという選択肢が増えた、という感覚だ。最初こそ、致し方なくトライする!という気持ちだったが、今は違う。新しい選択肢のひとつであり、メリットもある。事前に送付したサンプルを手にしていただき提案内容を共有する。メールに加え、資料に手書きコメントを追加することもある。電話が良いと感じるときは声で伝える。今できるインテリア提案を工夫した結果、新しいスタンダードにたどり着いた。方法はひとつじゃない。オンラインを新たに加えた「柔軟な提案スタイル」である。

そう思って振り返ると、これまでの私は大好きなインテリアという軸こそブレなかったが、仕事のスタイル、領域は自由だった。リフォームと新築、マンションと戸建、モデルハウスとTV番組のスタイリング。領域の違う世界を経験すると、さらにインテリアが面白くなった。中国に渡り、ゲストハウスのインテリアデザインを担当したり、行政の専門家アドバイザーとして、インテリアのものづくりにも関わった。その後、医療分野とつながり、研究や学会発表に取り組む中で、インテリアが役立つ医学領域が「公衆衛生」だと知った。昔の私には想像できなかった展開だが、今は医療従事者とともに公衆衛生大学院で学んでいる。

インテリア業界の一人として、私はめずらしいタイプかもしれない、と感じるときがあるが、インテリアの領域を限定せず、柔軟に組み合わせてきた結果のように思う。インテリアの可能性は大きい、とお話させていただくのも、まさに実体験から素直に出てきた言葉である。

「柔軟性」こそ、これからの新しいスタンダード。春に向かって、私自身もっと柔軟でありたいと感じている。

2021年3月1日号 室内装飾新聞 インテリアトレンド情報に掲載
*尾田恵のインテリアトレンドレポート/月1回連載中

室内装飾新聞202103月号

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